
Research
血中miRNAの研究
血液中の分子情報から何が読み取れるのか。その限界も含めて。
Explained
がんと免疫のせめぎ合いについて
miRNAとは、細胞の中で遺伝子の働きを調整する小さなRNAです。血液中にも存在し、その量や組み合わせが体の状態によって変わることが報告されています。
がん細胞が生じても、すぐに大きながんになるとは限りません。免疫によって排除されたり、増殖を抑え込まれたりすることがあります。
がん免疫研究では、免疫ががん細胞の増殖を抑えながら、完全には排除しきれていない状態を「平衡(Equilibrium)」と呼びます。
このとき体内では、NK細胞やT細胞などによる抗腫瘍免疫と、がん細胞側の免疫回避機構がせめぎ合っています。近年では、この細胞間の情報伝達に、miRNAやタンパク質などを運ぶエクソソームを含む細胞外小胞が関与することも報告されています。
ただし、血液中の細胞外小胞やmiRNAを測れば、その方が今この平衡の状態にあると判定できる、というところまでは分かっていません。
Explained
血中miRNAの研究について
血中miRNAは、がんに関連するバイオマーカー候補として研究されています。
がん細胞由来の細胞外小胞には、由来細胞の状態を反映する分子情報が含まれる可能性があり、液体生検への応用が研究されています。
miRNAや細胞外小胞を用いた検査研究は進んでいますが、検査ごとの性能は個別に検証する必要があります。ある研究で示されたことが、別の検査にそのまま当てはまるわけではありません。
また、採血や処理の方法、年齢、性別、生理的な状態などが測定値に影響しうることも報告されています。
Sources
この解説の出典
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出典の文献を見る
- 1.Koebel CM, Vermi W, Swann JB, et al. Adaptive immunity maintains occult cancer in an equilibrium state. Nature. 2007;450(7171):903-907.
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がんと免疫が拮抗する状態(免疫が異常な細胞の増殖を抑えている段階)があるという記述 - 2.Najaflou M, Shahgolzari M, Yari Khosroushahi A, Fiering S. Tumor-Derived Extracellular Vesicles in Cancer Immunoediting and Their Potential as Oncoimmunotherapeutics. Cancers (Basel). 2023;15(1):82.
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腫瘍細胞と免疫細胞の情報のやり取りに細胞外小胞が関与するという記述 - 3.Matsuzaki J, Ochiya T. Circulating microRNAs and extracellular vesicles as potential cancer biomarkers: a systematic review. Int J Clin Oncol. 2017;22(3):413-420.
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血液中のmiRNAや細胞外小胞が、がんに関連する指標として研究されているという記述 - 4.Yoshioka Y, Katsuda T, Ochiya T. Extracellular vesicles and encapusulated miRNAs as emerging cancer biomarkers for novel liquid biopsy. Jpn J Clin Oncol. 2018;48(10):869-876.
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腫瘍細胞が小胞やmiRNAを血液中へ放出し、それらが由来細胞の状態を反映しうるという記述 - 5.Matsuzaki J, Ochiya T. Circulating microRNAs: Next-generation Cancer Detection. Keio J Med. 2020;69(4):88-96.
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血清中のmiRNAを用いた国内の大規模な研究に関する記述 - 6.Kosaka N, Iguchi H, Ochiya T. Circulating microRNA in body fluid: a new potential biomarker for cancer diagnosis and prognosis. Cancer Sci. 2010;101(10):2087-2092.
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血液中にmiRNAが存在し、小胞などに含まれて安定に保たれうるという記述 - 7.Ochiya T, Hashimoto K, Shimomura A. Prospects for liquid biopsy using microRNA and extracellular vesicles in breast cancer. Breast Cancer. 2025;32(1):10-15.
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miRNAが遺伝子の働きの調節に関わり、小胞に運ばれて血液中を巡るという記述 - 8.Xu D, Tahara H. The role of exosomes and microRNAs in senescence and aging. Adv Drug Deliv Rev. 2013;65(3):368-375.
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miRNAとエクソソームが細胞の老化や加齢に関わるという記述 - 9.Noren Hooten N, Fitzpatrick M, Wood WH 3rd, et al. Age-related changes in microRNA levels in serum. Aging (Albany NY). 2013;5(10):725-740.
DOI: 10.18632/aging.100603/PubMed: 24088671
血清中の一部のmiRNAが年齢に関連して変化するという記述 - 10.Takizawa S, Matsuzaki J, Ochiya T. Circulating microRNAs: Challenges with their use as liquid biopsy biomarkers. Cancer Biomark. 2022;35(1):1-9.
DOI: 10.3233/CBM-210223/PubMed: 35786647
採血や処理の方法、年齢、性別などが測定値に影響しうるという限界に関する記述
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